1/3(さんぶんのいち)を1/2(にぶんのいち)よりも大きいと捉えてしまう

 1/3(さんぶんのいち)と1/2(にぶんのいち)をくらべたときに、分母の数の大きさに反応して、1/3の方が大きい数と捉えてしまう子どもがいます。原因として、分数の表記理解がしっかりと定着しておらず量のイメージが分数に結びついていないことが考えられます。

 分数には、一般的に操作分数・分割分数・量分数・割合分数・商分数があるとされていますが意味的には、「操作分数・分割分数・量分数・割合分数」と「商分数」の2つに分けることができます。「操作分数・分割分数・量分数・割合分数」のグループで大切なのは、『元になる1』です。元になる1がピザ1枚なら分割分数、元になる1が1mや1Lなど量の基準になるものなら量分数、元になる1が全体の1なら割合分数となるだけで

意味としては、B/A=1÷A×B (元になる1をA等分したものがB個分)になります。 

具体的な支援の方法

step1 分数カードによる支援

 

 分数の表記理解をしっかりとしたものにするために、写真1のような分数カードを使います。PC用の写真印刷用紙を使って、1辺が10cmの正方形のカードを作り元になる1とします。この1を二等分した1/2カード、三等分した1/3カード、四等分した1/4カードを10枚ずつ作っておきます。

 厳密には面積の基準になる1平方デシメートルを元になる1としていますので、量分数カードということになりますが、量分数と分割分数の違いを示すために使うというのではなく、B/A=1÷A×B(元になる1をA等分したものがB個分)という分数の意味を伝えるためのカードとして使用します。

                   写真1
                   写真1

 面積1平方デシメートルの色画用紙と面積3/2平方デシメートルの色画用紙と2平方デシメートルの色画用紙を作っておきます(写真2)。

 まず、面積1平方デシメートルの色画用紙と2平方デシメートルの色画用紙の二つを並べて(写真3)「どちらが広い?」という質問をします。その後、1平方デシメートルの色画用紙に、広さの元になる1のカードを当て(写真4)「この広さを1とすると、こちらの広さはいくつになる?」と言い、2平方デシメートルの色画用紙を指さします。広さの元になる1のカードを2枚当て(写真5)広さ2を答えてもらいます。

        写真 2
        写真 2
        写真 3
        写真 3

        写真 4
        写真 4
        写真 5
        写真 5

 次に、面積1平方デシメートルの色画用紙と3/2平方デシメートルの色画用紙の二つを並べて(写真6)「どちらが広い?」という質問をし、その後、1平方デシメートルの色画用紙に、広さの元になる1のカードを当て「この広さを1とすると、こちらの広さはいくつになる?」と言い、3/2平方デシメートルの色画用紙を指さします。

 広さの元になる1のカードを当て(写真7)「1よりも大きく2よりも小さくなるね。こまったね。」といい「こんなとき役にたつのが、1を二等分した1/2カードです。」といい、1/2カードを見せ「この1/2カードを置いてみるね。」といってから1/2カードを置いていきます(写真8)。「ちょうど1/2カード3個ぶんになるね。」といって、「算数ではこれをこう書きます。」と言いながらミニホワイトボードに3/2と書きます。「『にぶんのさん』と読み、1を2つに分けたものが3個ぶんという意味になります。」と伝えます。

        写真 6
        写真 6
        写真 7
        写真 7

        写真 8
        写真 8

 面積1/2平方デシメートルや面積4/3平方デシメートル、面積2/3平方デシメートル、面積5/4平方デシメートル、3/4平方デシメートルの色画用紙などを準備し、分数カードを使って広さを分数で表す課題をおこない、量を分数に結びつけると共に分数の表記理解を進めていきます。

 分数の表記理解がしっかりと定着した段階で、ホワイトボードに分数を書き、その分数を分数カードで表現する課題をおこないます(写真9)。

                写真 9
                写真 9
         図 1
         図 1
         図 2
         図 2
         図 3
         図 3

step2 支援ソフト「分数のきほん」による支援

 

 さんすうベーシックプラスさんすう3「分数のきほん」の中の『分数のかんがえかた』の課題(図1)、マッチング課題『真分数』(図2・図3)を繰り返しおこなうことにより、分数の表記理解をしっかりと定着させていきます。